(知事)
今日の花は、福井県人会から頂きました、さっき頂いたばっかりです。スイセンですね。「水仙のうつむき加減やさしくてふるさとふいに思う一月」だったっけ。俵万智さんの歌が、正確でなかったかもしれません。正確でないかもしれません。すごいいい歌です。城北公園の池のそばにスイセンが植わっておりますが、そこに歌碑ではありませんが、何と言いますかね、木に歌が書かれています。誠にいいものです。そのスイセンを今日は飾っていただいたということでございます。さっき頂いたばっかりでした。
【全国知事会東日本大震災復興協力本部長(川勝知事)の福島県・宮城県訪問】
さて、発表項目でありますが、三つございます。まず、一昨日と昨日の2日間、福島県と宮城県の被災地を訪問いたしまして、震災の復興状況を視察してまいりました。全国知事会の東日本大震災復興協力本部長を昨年の6月に拝命いたしまして、被災地を訪問いたしますのは、昨年の10月の岩手県に続いて2回目となります。
私はともかく現場を見るということを柱にしておりまして、今回もそのようにいたしました。被災地では官民を挙げた懸命の努力により、インフラ整備をはじめとした復興は着実に進んでいましたが、依然として多くの事業が道半ばでございます。
特に、福島県は福島第一原子力発電所の災害の影響により、約4万3千人の方がまだ避難生活を余儀なくされていらっしゃいます。そのうち約8割に当たる3万3千人が県外で避難生活を送られているということです。
2日前の22日には、福島県の復興・再生の拠点となる「ふたば医療センター附属病院」、「ふたば未来学園高等学校」を訪れました。この、ふたば医療センターというのも、ふたば未来学園というのもですね、双葉にはないんですよ。双葉というのは、福島第一原発が立地しているのは大熊町、その北側に双葉町というのがありまして、そこは帰還困難区域といわれている所で、誰一人いない所ですね。大熊町では、1600ヘクタールという大地が剝ぎ取られまして、そこに剝ぎ取ったといいますか、汚染されている、土や植物がですね、黒い容器の中に入って積み重ねられているという状況でございました。ふたば医療センターの方は、富岡町という、昨年の4月に一部帰還が許されたことになった所にございます。ふたば未来学園高等学校は、これは広野町で、少し南の方ですね。
それからJヴィレッジのほか、福島県内で発生した除染に伴う放射性物質を含む土壌や廃棄物などを貯蔵する、全体面積1600ヘクタール、現時点では約1076ヘクタールに及ぶ、中間貯蔵施設を視察しました。まだ非常に厳しい状況です。
23日は福島県の内堀知事にお目にかかりまして、復興に関するご意見やご要望を伺いました。午後は、名取市閖上(ゆりあげ)地区の津波対策まちづくりを視察しまして、復興の現状を現場で感じ取りました。
前後いたしますけれども、その前日、福島県富岡町の宮本町長にお目にかかりました。富岡町というのは、人口が1万6千ですけれども、まだ900人にも満たない人しか戻ってこないという状況であります。その町長さんから、8年間のご苦労をお聞きいたしまして、胸を打たれました。農業、あるいは建設の専門委員が必要なので、ぜひ派遣をしてほしいという要望もございましたので、全国知事会を通じて、各都道府県の知事にしっかりと要望を伝えるとともに、国に対しましても、復興に向けたさまざまな事業の継続を働きかけるなどいたしまして、復興協力本部長としての職責を果たす所存でございます。
今回お目にかかることのできなかった福島第一原子力発電所近隣の大熊町ならびに双葉町の町長さんにも、ぜひお目にかかりたいと思っております。帰還困難区域の再生や避難者の帰還・定住に向けた意見や要望をじかにお伺いいたしまして、どうすればこういう方たちが希望を持って暮らすことができるのか、いろいろと本部長として協力してまいりたいと思った次第でございます。
【健康寿命延伸のための「社会健康医学」推進委員会の今後の進め方】
二つ目の発表項目でありますが、平成30年3月に「社会健康医学研究推進基本計画」を策定いたしました。この基本計画に基づく取り組みについて協議する、健康寿命延伸のための「社会健康医学」推進委員会を、昨日開催いたしました。
委員会の委員長は、ノーベル賞受賞者の本庶佑(ほんじょたすく)先生です。その委員長から、大学院大学の基本構想案を取りまとめていただきまして、吉林副知事に意見書が手渡されました。
県としましては、本庶委員長から手交されました社会健康医学の推進に関する意見書や、今後実施するパブリックコメントによる県民からのご意見も踏まえ、今年度中に基本構想を策定しまして、大学院大学の早期の開学に向け、着実に取り組んでまいります。
社会健康医学について、今年度から、県立総合病院リサーチサポートセンターにおいて着手しております。引き続き、本庶委員長のご指導を仰ぎながら、県や市町の健康増進施策、疾病予防対策に反映できる研究を進めるとともに、大学院大学の早期開学に向け、研究体制をさらに充実させてまいります。
来年度は、大学院大学設置の具体化に向けた基本計画を策定いたします。そのため、引き続き本庶先生に推進委員会の委員長をお願いしてございます。
大学院大学の早期開学に向け、文部科学省との協議を着実に進めてまいります。
社会健康医学研究を先進的に行っているのは京都大学でございます。京都大学が基礎研究を中心になさいまして、本県はそのフィールドを提供するという形に分業するということでございます。京都大学の研究成果を活用しながら、実際のフィールドとして、本県における研究を推進することで、県民の健康寿命のさらなる延伸につなげてまいりたいと考えております。
【中東遠地域の枯損していない海岸防災林区域における「ふじのくに森の防潮堤づくり」の推進】
三つ目の発表項目でございますが、中東遠地域の枯損(こそん)していない、枯損というのは枯れて損なわれるということでございますけれども、海岸の防災林区域における「ふじのくに森の防潮堤づくり」についてでございます。
平成26年度から塩害等により枯れて損なわれました、海岸の樹木ですね、この海岸防災林の再整備を目的として、磐田市、袋井市、掛川市、御前崎市が実施するかさ上げ盛土と連携し、県が治山事業によって、津波対策の一助となる「ふじのくに森の防潮堤づくり」を進めております。
しかし、これまで防災林としての整備が認められるのは、海岸からの砂の飛来や潮風を防ぐ機能を失った、いわゆる、先ほど申しました、枯損した防災林に限定されておりました。枯損していない防災林はどうするんだということで、これで議論を進めてきたわけでございますけれども、地元4市長から、対応策について強い要望が出されておりました。
このため、県では、枯損していない防災林区域の整備手法について、さまざまに検討を重ねまして、林野庁と協議を続けた結果、このたび、林野庁との間で、一定要件の下で、治山事業が、そういう枯損していない防災林区域でも適用できる旨の協議が整ったということでございます。本県の担当の職員はよくがんばったと思います。
今後、枯損していない防災林の区域につきましても、治山事業が適用されることによりまして、整備区域が約6.5キロメートル延びるとともに、関係市の費用負担が約30億円程度軽減できることになります。
今回の林野庁との協議結果を、関係している磐田市、袋井市、掛川市、御前崎市にご説明申し上げ、各市と連携しながら、「ふじのくに森の防潮堤づくり」のより一層の推進を図ってまいります。
発表項目は以上でございます。 |